今まで、障害者支援施設、高齢者施設、障害児通所施設で10年以上働いてきました。
福祉分野で働いてきた経験から、私なりの視点で良い施設かを判断するときに一体どこを見るべきなのかをまとめてみました。
コケ蔵
それだけではとっても危険な考えだと思います。
今回の記事は次の人たちの役に立つかもしれません。
良い施設に就職してクライエントのために働きたいと考えている人
複数の施設からどの施設を利用するか悩んでいる人
以上の人の参考に、少しでもなれれば嬉しいです。
では、早速いきましょう!
ここからは私が思う良い施設のポイントを上げますが、職員に聞いてみないとわからなことが多いです。ストレートに痛いところをついてしまうと角が立ったり、自分にとって不利な状況になってしまうこともあります。
わからないので、良ければ教えてほしいスタンスでいることは忘れないでいましょう。
目次
ポイント1(心構えとして)
外部と接触する職員の印象が良いのは当たり前!ということ
採用面接にしろ、見学にしろ対応する職員は基本的にしっかりした人が多いです。
外部の人には、良い顔を見せたいものですからね。
もちろん批判しているわけではありません。
施設にとっては、印象や対応が良い職員があたれば欲しい人材が入職してくれたり、利用に繋がる可能性が上がるわけですからね。
「福祉」っていう言葉は結構先入観を抱かせる言葉だったりします。
福祉施設なら、利益関係なしで優しくしてくれるでしょなんて思われてたりしますが、運営していく以上外部に見せる顔には当然力を入れています。
冷静に考えてみると対応にあたってくれた職員が良かったからと施設に入っても現場にいないため、ガッカリしたなんて話も良く聞きます。
施設の顔だけでなく、施設の手足(現場の職員)むしろ指の先まで見て、判断するのがとても大切だと思います。
お互いに相手を知る意識を持つこと
たまに「見学はしなくていいからすぐに利用したい!」と問い合わせがきたりしますが、私は必ず見学をしてもらっています。
1時間程度はきっちり時間をとって現場を見てもらい、何に困っているのか、困り事を解消するために何をしてあげれるのかなど、相手と綿密にすり合わせを行っています。
ですが、施設の中には「すぐ利用したいです!」と問い合わせがあればすぐに契約してしまう施設もあるかもしれません。
「こんなはずじゃなかったのに」と後悔することを減らすために、言われるがままでなく、相手を納得するまで知ろうとする意識を持つことが大切だと思っています。
これは入職希望者も同じですね。
ポイント2(現場スタッフの支援を見て、聞いてみる)
ポイント1でもお伝えした通り、まずは現場を見学することが優先です。
採用面接にしても、事前に連絡しておけば断れることはそうないでしょう。
見学することで、「この人はやる気があるな!」なんてプラスで捉えてもらえますし、お願いして損はないと思います。
そこで、スタッフが支援している様子としておさえておきたいポイントです。
利用者を「くん」「さん」付けで呼んでいるか
私個人としては、「くん」「さん」付けがめちゃめちゃ大事ですね。
「くん」「さん」を付けるというのは、相手を一人の人として尊重している現れだからです。
たまに利用者と距離を近づけるために呼び捨てにしているなんて言ってる人がいますが、そう言う大抵の人は相手を見下しています。
利用者の反応が嬉しそうだなんてこともありますが、それは別です。
支援者のプロとしての姿勢が見れるポイントですね。
あだ名なんてもってのほか。
現場スタッフの笑顔と真剣な顔は見られるか
現場スタッフが楽しくないと良い支援にはなりません。
ムスッとしている人より、楽しそうにしている人と過ごしたくないですか?
笑顔7:真剣3程度の割合でしたら、日々の仕事も進みつつ、ストレスも少なく一緒に過ごせそうですよね。
支援の目的を言語化できるか
見学の際は、隙を見て現場の人に声をかけてみると現場の本音がポロポロと出てくることが多いです。
「さっきの支援は、どのような目標に向けてされてたんですか?」
なんて聞いて固まってしまったり、チグハグになってしまうと緊張もあるのかもしれませんが、支援の目的がわかっていないんだと思われるでしょう。
施設のサービスを行う責任者が個々の支援の目標を説明できればいいのですが、実際は現場にいる職員がクライエントに直接支援するわけで、ただただ意味もわからずに支援をしているのでは、効果が全く異なります。
支援目的を言語化できるほど理解していれば、その時のクライエントの反応や結果をもとに自身で支援の調整をできたりします。どちらが質の高い支援をできるかは明らかだと思います。
スタッフは施設の理念を言えるのか
これまたさりげなく聞いてみてもらうと、施設の考えが施設の指先、足先まで浸透しているのかが良くわかります。
「こちらでの支援の基本の考えって何かありますか?」
これが答えられると上司と密に情報を共有してたり、上司の考えがしっかり伝わって仕事をしているんだなあと感じます。
良い施設はスタッフ一人ひとりに情報、理念共有が染み渡っています。
ポイント3(体制について見て、聞いてみる)
定期的な研修をしているか
組織内部でスタッフが実施する研修、外部講師を招いて実施する研修がありますが、
どちらも定期的に開催されているかがポイントだと思います。
たま〜に、思いつくまま不定期に実施していたり、「それって研修なの?」ってのもあるので、研修名や内容についてそれとなく聞いてみると、部下への教育姿勢が見えると思います。
スタッフの人数について
見学の日時は、施設側に指定されたりすると思います。
当然施設側は、手厚くスタッフが揃っている日時だったりで見てもらいたいと思うものですが、
普段でもスタッフが多く業務していれば手厚い支援ができる可能性が高いです。
入所なら日勤、夜勤と1日通してのスタッフ人数にどの程度変わりがあるか。
通所なら日中のスタッフ人数に変わりがないか聞いてみても良いと思います。
定時に帰れるのか
福祉業界の人は本当に人が良くて、自分のプライベートを犠牲にしがちです。
最たるものは、やはりサービス残業でしょう。
仕事は探せばキリがないほど出てきます。
私は、仕事とプライベートを分けることが、良いチームワークや質の高い支援を生み出すと思っています。
定時に上がれる仕組み作りや考えについては知っておきたいですね。それとなく帰宅時間あたりまで見学の時間をとってもらい、動きを見ても良いかもしれません。
コケ蔵
役割分担ができているか
これは完全主観で賛否両論あると思いますが、施設長や責任者が現場に入っているところを見てしまうと「仕事で忙しい施設なのかなあ」と思ってしまいます。
施設長や責任者は本来マネジメントや運営について全力を注いでいるはずです。
現場に出てくるということは、見学者にアピールする目的もあると思いますが、それですと普段現場にいない職員になります。
普段から現場に入っているなら、マネジメントに100%徹していないことが予想され、役割が曖昧な施設なのかと感じてしまいます。
マネジメントする側がそうであると、部下にも無意識でなんでもありの指示出しが起きていたり、見えないところで業務が円滑に回っていない可能性があります。
支援計画書
施設には、クライエントに対して個々の支援計画書が作られているはずです。
進行中の計画書は見せてもらえませんが、制作までの過程(作成に向けての会議の開催など)や作成例について聞いてみると発見があるかもしれません。
事故が起こらないための工夫をしているか
人と関わっている以上、ヒヤリハットや事故というのはどうしても起きるものです。
今までどのようなヒヤリハットが起きたことがあるか、そこからどのような対応をとって実践してきているのか。
課題をそのままにせず改善を繰り返す施設であるかはとても重要なポイントだと思います。
掃除が行き届いているか
体制とはずれますが掃除が行き届いているか見てみましょう。
大きな施設では、清掃員が入ってたりすることもありますが、清掃員が必ずいるとは限りません。
施設設備の老朽化による破損等は危険でなければ経費が出せず補修が難しい場合もありますが、必ず毎日掃除はできるはずです。
私としては、ホコリやチリが溜まっている施設は怪しいところが多かった印象です。
最後に
今思えば私が経験してきた入所施設は全て閉鎖的でした。
家族が会いに来れなかったり、見学もなく入所者や職員が突然増えたり、社会とは隔離され別の世界のような雰囲気が広がっていました。
そのようなところでは、良くも悪くも社会との繋がりを持てなくなってしまったり、
職員は無意識に虐待ケースの加害者になってしまうこともあります。
支援者と利用者の人権は本来平等ですが、閉鎖的な施設ではお互いに律することが難しくなる傾向になりやすく、風通しの良い施設づくりが求められていると思っています。
いかがだったでしょうか。
私の主観ではありましたが、施設を選ぶ際に悩んだ時は、参考にしていただければ嬉しいです。